職場環境も重要な要素
マネジメント側が考えるべきこと
職場環境の整備がカギ
介護士と看護師が協力する上で最も大切なのは、利用者のことを第一に考える姿勢です。「利用者のため」と考えれば、利用者の生活を支える介護士と、利用者の健康を守る看護師が、お互いの役割を理解しながら業務に取り組むことができます。仕事内容や配置人数のバランスなどを調整し、それぞれが効率的に力を発揮できる環境を作るのは、マネジメント側の役割です。例えば、通常の仕事の他に意見交換の場を設けるなど、介護士と看護師の交流を図るような取り組みが求められます。円滑に業務を進めるためには、職場環境がカギとなるのです。
負担が一方に偏らないようにする
職場環境を整える際にまず考えるべきなのが、「業務量・労働条件の公平化」です。資格の有無によりできる仕事とできない仕事があるのは仕方のないことなので、その点について議論をするのは無駄です。重要なのは、お互いの「作業量」を把握し、負担が一方に偏らないようにすることです。負担が偏ってしまうと、当然のことながら不満が生まれます。
例えば、看護師よりも介護士の業務量が多く残業も発生しやすい職場だとします。介護士は介護以外の周辺業務も多いため、拘束時間に差が生まれます。人事異動についても、看護師はほとんどありません。これでは、業務量と労働条件にあきらかな差があります。不平等だと不満を持つ介護士が多くなり、対立関係が生まれます。こういった状況で必要なのは、負担の軽い側が歩み寄る姿勢です。つまり、看護師が積極的に介護業務に参加するようにマネジメント側が促さなければなりません。
公平に判断できる上司の存在
それぞれの職種に精通した上司がいると、職場環境の整備はスムーズに進みます。介護施設の管理者は、「介護士⇒相談員⇒管理職」というルートを歩むことが多いです。しかし、これだと介護・相談業務についての知識はあるものの、看護業務についての知識は一切ないことになります。ここに既得権益が生まれ、看護師の仕事が聖域化しやすくなっていきます。他の職員ができない領域の仕事を担っているため、自分の都合に応じた働き方を主張しやすくなるのです。
そこでマネジメント側としては、直接医療行為はできないにしても、看護師の仕事内容を把握しておく必要があります。業務量や仕事のスケジュールを記録し、もし職種間で問題が発生した場合には公平に判断できるようにしておかなければなりません。マネジメント側が公平な目を持ち、それぞれに対して適切な意見を出せる職場であれば、介護士と看護師の間に摩擦が生まれにくくなります。